相続放棄を弁護士に依頼するべき理由

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2023年12月12日

1 相続放棄を依頼する専門家

 相続放棄は、弁護士のほか、司法書士も依頼を受けることができます。

 ただし、依頼者の方からご依頼を受けて相続放棄を行う場合、弁護士とそれ以外の人とでは、法律上行えることに違いがあり、実務面においても違いが発生します。

 弁護士は、書類作成の代行をはじめ、代理人として裁判所や債権者とのやり取りも行うことができるため、相続放棄に必要な手続きについて、幅広く対応することできるというのが利点です。

 以降で、具体的な違いについて説明をします。

2 弁護士は法律業務全般の「代理人」になることができる

 弁護士は、相続放棄を希望される依頼者の方からの委任を受け、相続放棄手続きの「代理人」になることができます。

 代理人がいる場合、その代理人が委任を受けた代理権の範囲内において、代理人が行った行為の法的な効果が、申述人本人にも及びます。

 相続放棄の手続きにおいては、代理人が行ったことは、申述人本人が行ったことと同一の効果を持ちます。

 他方、司法書士は、代理人になることはできません。

 あくまでも、書類作成等の「代行」を行うという形になります。

 以上が、法律面における違いです。

3 実務面における違い

 そして、実務面においては、次のような違いが出てきます。

⑴ 弁護士の場合

 相続放棄申述書の作成に始まり、戸籍謄本類等の収集、「代理人名義」での相続放棄申述書の提出を行うことができます。

 また、相続放棄申述書提出後に行われる裁判所からの質問が代理人宛てになされた場合、代理回答が可能です。

 なお、代理人弁護士が就いている場合に限り、質問状を送らないという運用をしている裁判所もあります。

 その他にも、戸籍の記載事項等につき裁判所からの問い合わせがされることがありますが、これに対する代理応答も、弁護士の名義で行うことができます。

 裁判所から見ると、代理人は申述人本人と同等の権限を有しているため、基本的にはすべての連絡は代理人を通じて行います。

 ただし例外として、質問状を申述人本人へ送付することはあります。

 

⑵ 弁護士以外の士業の場合

 弁護士と異なり、その他の士業は相続放棄手続きの代理人になることはできないため、書類作成、戸籍謄本類等収集、申述書の提出等の「代行」を行うことになります。

 あくまでも、申述人本人の名義で相続放棄申述書を作成・提出するため、裁判所からみると、申述人本人が相続放棄を行っていることになります。

そのため、裁判所からの質問への対応、その他の問い合わせへの対応は、申述人本人が行うことになります。

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