相続放棄の落とし穴

弁護士法人心が選ばれる理由

相続放棄の必要書類(被相続人の最後の住所地を示す書類)

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年09月07日

1 相続放棄手続きの際に提出する書類

 相続放棄の際、裁判所に対し、相続放棄申述書のほか、被相続人の死亡の記載のある戸籍(相続人が直系尊属や兄弟姉妹の場合は、出生から死亡までの連続した戸籍等)が必要になります。

 さらに、相続放棄の手続きを行う裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所なので、被相続人の最後の住所地を証明するための資料として、被相続人の住民票除票または戸籍の附票を提出する必要があります。

 被相続人死亡から3か月以上経過しているなど、事案によっては、事情を説明するための資料を添付することもあります。

 

2 被相続人が5年以上前に亡くなっている場合

 あまり多くはないケースですが、相続放棄の手続きをする時点で、被相続人が死亡してから5年以上経過していることがあります。

 このような場合、相続放棄手続きの際に必要な住民票除票または戸籍の附票が手に入らないことがあります。

 住民票除票と戸籍の附票は、被相続人が死亡してから5年以上経過している場合、廃棄されてしまうことがあるためです。

 このような場合、被相続人の本籍地を管轄する法務局から、死亡届の記載事項証明書というものを取得しなければなりません。

 もっとも、死亡届の記載事項証明書は、無条件に発行してもらえるものではなく、発行を求める理由を、資料を用いて説明しなければなりません。

 死亡届の記載事項証明書を発行してもらうには、まず相続放棄の手続きの際に、被相続人の死亡地等の裁判所へ相続放棄の書類一式を提出するとともに、裁判所から業務連絡書面を発行してもらいます。

 業務連絡書面には、住民票除票または戸籍の附票が廃棄されていることから、死亡届の記載事項証明書の提出を支持する旨を記載してもらいます。

 この裁判所の業務連絡を法務局に提出し、法務局が許可した場合、死亡届の記載事項証明書を発行してもらえるようになります。

相続放棄に関する生前対策

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年09月02日

1 相続放棄と被相続人の財産

 一般論として、相続放棄をすると、被相続人の財産を一切取得することができなくなりますが、同時に被相続人の負債も一切負わずに済みます。

 相続債務からまぬがれられることは、相続放棄の大きな利点の一つです。

 ところが、相続財産に関しては複雑な問題があり、相続放棄をして財産を取得しなかった場合であっても、相続財産の管理責任は負うことになる場合があります。

 預貯金のような金銭債権はあまり問題になりませんが、不動産(特に建物)、自動車、賃借権(自宅や駐車場)、賃借物件内の残置物については、大きな問題が生じる可能性があります。

 

2 相続財産に関する問題と生前対策

 相続財産に関しては、相続放棄後に次のような問題が生じます。

 まず、建物については、放置すると老朽化により、倒壊等の危険が生じます。

 管理責任の及ぶ範囲は必ずしも明確にはなっていませんが、倒壊等により他者に被害が生じた場合、何らかの形で責任を追及される可能性があります。

 自動車も、賃借している駐車場など、他者の土地上に放置しておくと、オイルやガソリンなどによる被害が生じる可能性があります。

 自宅や駐車場の賃借権については、財産的価値が高いため、相続放棄をした相続人が解除をしてしまうと、法定単純承認事由に該当し、相続放棄に支障が出る可能性も否めません。

 そのため、賃貸人(大家等)に一方的に法定解除してもらうほかありません。

 また、賃借物件内に被相続人の残置物がある場合、原則としてこれらは撤去できない(法定単純承認事由に該当する可能性がある)ものの、撤去しないと賃貸人との間でトラブルになることがあります。

 そのため、もし被相続人となる方がご存命のうちから相続放棄をすることを決めていて、財産を受け渡す人物が存在しない場合、可能な限り、建物は取り壊すか譲渡し、自動車は廃車または譲渡し、賃貸借契約は解約しておくなどの対策をとっておくことが大切です。

被相続人死亡から3か月以上経っていた場合の相続放棄

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年06月25日

1 相続放棄はいつまでに行えばよいか

 相続放棄の申述の期限は、「相続の開始を知った日」から3か月です。

 被相続人死亡日から3か月ではないことに留意しましょう。

 相続の開始を知った日とは、被相続人が死亡したことと、ご自身がその相続人であることを知った日です。

 そのため、理論上は、被相続人死亡日が何十年も前であったとしても、つい最近被相続人が亡くなったことと、ご自身が相続人であることを知ったのであれば、相続放棄はできます。

 もっとも、一般論として、相続の開始は、被相続人死亡日またはその日から数日後程度で知ると考えられています。

 そのため、事実上は、被相続人死亡日から3か月以内に相続放棄を行うことが原則となっていると考えられます。

 

2 被相続人がお亡くなりになってから3か月以上経っていたら

 被相続人死亡日から3か月以上経過した後になって、被相続人が死亡したことや、ご自身が相続人であることを知るというケースもあります。

 よくあるのは、何年も前から没交渉であった被相続人が死亡し、被相続人の債権者等が相続人を調べて、書面等で連絡をしてくるというケースです。

 連絡を受け取った時には、すでに被相続人死亡から3か月以上経過していることがほとんどです。

 このような場合、被相続人死亡から3か月以上経過した後になって相続放棄の手続きをせざるを得なかった理由を、しっかりと裁判所へ説明する必要があります。

 具体的には、被相続人の死亡等を知る原因となった書面(債権者からの通知等)を資料として提出し、被相続人の死亡等を知った日を客観的に明らかにするとともに、それまで被相続人の死亡等を知り得なかった理由も疎明していく必要があります。

 適切な説明をするために、弁護士がお力になれる部分も多くあるかと思いますので、相続放棄をお考えの方は一度弁護士にご相談ください。

親族と没交渉で相続放棄をお考えの方へ

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年06月16日

1 被相続人と疎遠な場合の相続放棄

 10年以上前にご両親が離婚され、片方の親に引き取られた後、もう片方の親とは完全に没交渉であった場合や、何らかの理由で家族との関係が悪化し、家出をした後は一切連絡を絶たれていた場合など、ご家族の方の死亡を知ることが困難な方がいらっしゃいます。

 このような状況の方は、被相続人が亡くなってから、ある程度の時間が経過してから、被相続人死亡を知るということがよくあります。

 被相続人の死から時間が経過している場合は、相続放棄の手続きにも影響が出てくる可能性がありますので、お早めに弁護士へご相談ください。

 

2 没交渉であった被相続人死亡の連絡はどのようにしてなされるか

 被相続人と疎遠で、ご家族の方が誰も連絡を取ることができなくなっていたようなケースにおいては、ほとんどの場合、市町村か被相続人の債権者からの連絡をもって、被相続人の死亡を知ります。

 被相続人が貸金業者や金融機関に対して債務を有していた場合、貸金業者や金融機関は、債権回収を弁護士等に依頼し、相続人及びその住所を調査します。

 そして、相続人に対して支払い請求をします。

 被相続人が生活保護を受けていた場合、市町村の生活支援課などから、ケースワーカー等が預かっていた物品の返還のために連絡がなされたり、死亡前後に振込まれた生活保護費の返還を求めるために連絡がなされることがあります。

 被相続人が不動産を有していた場合は、市町村の租税関係部門から、固定資産税の支払いを相続人に求めたり、その前提として、相続人代表者の選任届を提出するよう求めてくることがあります。

 市町村は、戸籍謄本類や住民票を保有している立場であるので、相続人の存在及びその住所を調査することができるため、被相続人死亡からある程度時間が経過すると、相続人に対して連絡がなされる形になります。

 

 債権者による連絡、市町村による連絡、いずれの場合においても、意向確認に関する書類が同封されていることがあります。

 これは、相続放棄を既にしているか、またはこれから相続放棄をする予定であるかを確認するものです。

 債権者や市町村も、相続人が相続放棄をすることは予想がつくため、効率化のためにあらかじめ確認するのです。

 このような書類が届いてはじめて自身が相続人であることを知るというケースもあります。

 書類への回答方法や、今後の相続放棄手続きについてなど、ご不安なことがありましたら、お気軽に弁護士へご相談ください。

他の相続人から相続手続きを急かされている方へ

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年05月27日

1 相続の発生と相続財産

 被相続人がお亡くなりなると、相続が発生します。

 相続人が複数いるときは、多くの場合、被相続人に属していた財産(相続財産)を、相続人間で分割することになります。

 分割手続きを行わないと、不動産の登記名義を移転したり、預貯金等の解約・名義変更ができないため、極力早く分割手続きを済ませたいというのが一般的な心理であると考えられます。

 

2 相続放棄の熟慮期間

 相続放棄は、相続の開始を知った日から3か月以内に行うものとされています。

 この期間を、一般的に熟慮期間と呼ぶことがあります。

 つまり、相続の開始を知った日から3か月間は、相続放棄をするか否かを検討する期間としているわけです。

 

3 相続放棄と相続財産の分割手続との関係

 ご自身は相続放棄をしたいと思っていたとしても、ほかの相続人は相続放棄をする気がなく、むしろ早く相続財産を取得したいと考えていることがあります。

 その際、1で述べたような事情から、他の相続人が、遺産分割協議書に早く署名・押印をするよう求めてくることもあります。

 これに応じてしまうと、法定単純承認事由に該当する可能性があり、相続放棄が認められなくなってしまうことから、相続放棄を予定しているのであれば、応じるべきではありません。

 このような場合、一刻も早く相続放棄手続きを行うことが大切です。

 相続放棄の手続きは、特段問題のあるケースでなければ、準備に1か月程度、相続放棄申述書を提出してから受理通知書が発行されるまで1か月程度です。

 まずはこのスケジュール感を、他の相続人に伝えておき、自身が相続人ではなくなるまでに要する時間の目途を認識してもらうことが大切です。

 そして、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が発行されたら、この写しか、または相続放棄申述受理証明書を、ほかの相続人に渡してあげることで、相続財産の分割手続きを円滑に進めることができるようになります。

相続放棄をする場面

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年04月14日

1 相続放棄は理由不問

 相続放棄は、家庭裁判所に対し、相続放棄申述書という書類と付属資料を提出することでできる手続きです。

 相続放棄申述には、被相続人や申述人(相続人)の情報や、相続放棄をする理由を書きます。

 通常、法的な手続きには要件が必要とされます。

 相続放棄の場合、被相続人が亡くなったこと、申述人が相続人であるなどが要件となりますが、理由は要件ではありません。

 相続放棄申述書には相続放棄をする理由を書きますが、これは事実上の事情を裁判所に説明するためのものです。

 実際には、申述人自身の意思で行う限り、相続放棄はどのような理由でもよいということになります。

 実務面においてよくあるケースは次の2つです。

 

2 被相続人に借金がある、またはその可能性がある

 経験上、相続放棄を希望される方の理由の大半は、被相続人に借金があるというものです。

 より正確には、被相続人に借金があることがわかっているが、どこにどのくらい借りているかが計り知れないというケースです。

 何年も後になって多額の支払いを求められるかもしれないという不安を解消するため、相続放棄をご希望される方は非常に多いです。

 相続放棄をすれば、法的には、初めから相続人ではなかったことになります。

 そのため、あとから借金の存在が発覚しても、一切返済する義務は負わないで済みます。

 

3 家族と疎遠、不仲

 何らかのご事情で、ご家族と疎遠になってしまったり、関係を悪くされてしまったため、相続にかかわりたくないという方もいらっしゃいます。

 ご両親が離婚され、片方の親とは何年、何十年と没交渉であったという方もいらっしゃいます。

 家出をされ、そのまま10年以上も家族と連絡を取らずじまいという方もいらっしゃいます。

 被相続人が亡くなったとしても、財産状況が不明であるどころか、顔すらよく知らないということもあります。

 亡くなった場所も遠く離れた場所であったりもします。

 このような場合、関与することを回避するために、相続放棄をするということがあります。

相続放棄における裁判所とのやりとり

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年03月25日

1 裁判所から質問されることもある

 相続放棄は、裁判所に対して必要な書類を提出して行う手続きです。

 具体的には、相続放棄申述書を作成し、附属書類である戸籍謄本類等を収集します。

 そして、収入印紙、予納郵券を付けて、裁判所に対して、これらの書類等を提出します。

 これによって、相続放棄の手続が開始されます。

 なお、この時点で、相続放棄の申述期限の問題はクリアとなります。

 あくまでも、相続放棄申述書等が提出された段階では、裁判所による審査が開始されるのみであり、相続放棄の手続が完了するわけではないことに注意が必要です。

 その後、裁判所は、必要に応じて申述人に対して質問状を送付することがあります。

 このことはあまり知られていないので、もしご自身で相続放棄手続きを行おうと考えている場合には気を付ける必要があります。

 質問状への回答の結果、特に問題がないと判断されれば、相続放棄申述受理通知書が発行され、無事相続放棄手続は終了となります。

 回答次第では、相続放棄が認められなくなる可能性があるため、質問状への回答は慎重さが求められます。

 

2 なぜ裁判所から質問がなされるか

相続放棄は、はじめから相続人ではなくなるという法的効果を有する、きわめて強力な手続きです。

 言い換えれば、相続する権利の全てを失うというものです。

 そのため、相続財産を独り占めしたい相続人が、申述人になりすまして相続放棄の手続を行ったり、申述人に相続放棄手続を強要する可能性があります。

 また、相続財産を先にお金に換えて自分のものにしてしまい、その後相続放棄を行って債務だけは免れようと考えてしまう相続人がいる可能性もあります。

 相続放棄を認めるか否かを判断するにあたり、裁判所はこのようなことがないかを確認したいのです。

相続放棄はいつまでに行わなければならないか

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年03月10日

1 相続放棄には期限が存在する

 相続放棄の法的効果は、初めから相続人でなかったことになることです。

 つまり、被相続人の相続財産を相続する権利の一切を失うという、非常に強力な効果を有しています。

 そして、原則的には、相続放棄が受理された後は、元に戻すことはできません。

 もっとも、相続が発生したことを知ったとしても、被相続人の財産状況が不明であったりなど、相続放棄をするべきか否かをすぐには判断できないこともあります。

 そのため、相続放棄には猶予期間が設けられています。

 相続放棄の期限は、「相続の開始を知った日」から3か月間であり、この期間を、相続放棄の熟慮期間ということがあります。

 あくまでも、相続放棄の期限の起算点は相続の開始を「知った日」であり、相続が開始(被相続人が死亡)してから3か月以内ではないことが重要です。

 相続の開始を知った日について、以下、具体例を説明します。

 

2 被相続人がお亡くなりになられた日に知った場合

 被相続人を看取った場合など、被相続人がお亡くなりなられた日に、被相続人死亡を知った場合は、被相続人死亡日に相続の開始を知ったことになります。

 そのため、この日から3か月間が相続放棄の熟慮期間となります。

 

3 被相続人死亡の通知を受けた場合

 被相続人が一人で暮らしていて孤独死していた場合、近所の人や大家さん等が発見し、警察へ通報するということがあります。

 このような場合、警察から相続人に連絡が入ることがあります。

 身元がはっきりしていれば、この日を以て相続の開始を知った日となります。

 死亡後時間が経過していて、ご遺体の損傷が激しい場合、DNA鑑定などをしないと身元が判明しないことがあります。

 この場合は、身元が判明した連絡を受けた日を以て、相続の開始を知った日とします。

 被相続人が生活保護を受けていて死亡した場合,市役所等から相続人へ連絡が入ることがあります。

 固定資産税などの税金を滞納していた場合も同様です。

 被相続人が貸金業者から借金をしていた場合,貸金業者から相続人へ連絡がなされることもあります。

 これらの連絡は、被相続人死亡からある程度時間が経った後になされることが多く、連絡を受けた日が熟慮期間の起算点となります。

 

4 先順位の相続人が相続放棄した旨の連絡を受けた場合

 法律上、相続には順位が定められており、被相続人の子、直系尊属(親など)、兄弟姉妹の順に相続が発生します。

 先順位相続人がいないか、または相続放棄をするまで、次の順位の相続人は相続人にはなりません。

 相続放棄は相続人でなければできない手続なので、先順位相続人が相続放棄をしたことをしない限り、相続放棄のしようがありません。

 そのため、先順位の相続人が相続放棄をした後,先順位相続人本人やその代理人等から相続放棄をした旨の連絡を受けてはじめて,相続の開始を知ったことになります。

 この場合は、連絡を受けた日から3か月間が熟慮期間となります。

相続放棄を行う場所

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年02月22日

1 相続放棄は法律で定められている手続

 相続放棄の手続は、相続放棄申述書を作成し、戸籍謄本類等の添付書類を、家庭裁判所に提出することで行います。

 裁判所というと、いわゆる刑事事件などを扱う地方裁判所を想像するかと思いますが、相続や離婚等の家事事件を専門に扱う家庭裁判所というものが存在します。

 家庭裁判所は、地方裁判所と併設していることが多く、支部もあります。

 相続放棄の書類は、家庭裁判所の窓口へ直接持ち込むか、郵送するかのいずれかとなります。

 後述する管轄裁判所が近くにある場合は直接持ち込んでもよいですが、場合によっては遠方になりますので、そのような場合は郵送することが得策です。

 

2 相続放棄申述書の提出先家庭裁判所

 相続放棄の手続を行う家庭裁判所はどこでもよいわけではありません。

 被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所とされています。

 では、被相続人の最後の住所地とは、どの住所をいうのでしょうか。

 ここでいう被相続人の最後の住所地は、実際に住んでいた場所ではありません。

 被相続人の住民票除票または戸籍の附票に記されている住所のことです。

 もちろん、多くの場合は住民票除票または戸籍の附票に記された住所と、実際に住んでいた場所は一致します。

 住民票除票または戸籍の附票は、相続放棄申述書とともに、家庭裁判所へ提出しなければならない資料となっています。

 これによって、家庭裁判所に対し、被相続人の最後の住所地を証明します。

 手続きを行う家庭裁判所を確定するため、住民票除票または戸籍の附票を取得する際はコツがあります。

 基本的に、被相続人の住民票住所が正確にわかっていない場合は、戸籍附票の方が早く取得できます。

 戸籍の附票は、被相続人の住所の履歴が記載されている書面であり、最後の住所地を証明することができます。

 相続人の戸籍から被相続人の戸籍を辿り、被相続人の死亡の記載のある戸籍を有している市町村に対して、同時に戸籍の附票を請求することで最後の住所地がわかります。

 被相続人の最後の住所地がわかりましたら、その住所地が属している市町村を管轄する家庭裁判所(およびその支部)を調べます。

 家庭裁判所のウェブサイト上に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所(またはその支部)が記載されています。

戸籍謄本類の集め方

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年02月05日

1 戸籍謄本類は相続放棄の際に必要

相続放棄を裁判所へ申述する際は、相続放棄申述書という書類を作成するとともに、被相続人や相続人の戸籍謄本類を添付しなければなりません。

 

2 戸籍謄本類の集め方

⑴ まず被相続人の子、または配偶者が相続放棄をする場合には、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍)、相続放棄をしようとしている相続人の戸籍謄本、被相続人の最後の住所地が示された住民票除票または戸籍の附票が必要です。

 被相続人や、相続人の本籍地がいずれも判明している場合は、戸籍謄本は本籍地のある市町村の市役所等で取得することができます。

 被相続人の本籍地がわからない場合は、相続人の戸籍謄本を取得し、従前戸籍欄を見ることで、判明します。

 なお、配偶者の場合や、被相続人の戸籍から抜けていない子の場合は、被相続人の除籍謄本を取得することで、自身の戸籍謄本も兼ねることができます。

 相続人の本籍地がわからない場合は、本籍地の省略のない住民票を取得することで、本籍地を調べることができます(かつては運転免許証に本籍地が載っていましたが、現在は記載されません)。

 被相続人の最後の住所地が判明している場合は、その住所地のある市町村において、住民票の除票を取得できます。

 なお、戸籍の附票にも被相続人の最後の住所地が記載されており、これは除籍謄本がある市町村で取得できますので、除籍謄本を請求する際に一緒に請求することをお勧めします。

⑵ 兄弟相続の場合には、被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍)、相続放棄をしようとしている相続人の戸籍謄本、被相続人の最後の住所地が示された住民票除票または戸籍の附票に加え、被相続人の出生から死亡前までの連続した戸籍謄本が必要になります。

 最後の、被相続人の出生から死亡前までの連続した戸籍謄本を取得するのは、場合によってはかなり大変です。

 引っ越しや離婚、再婚などの事情により、被相続人の本籍地が何度も変わっているような場合、戸籍謄本を解読しながら複数の市町村へ戸籍謄本の発行を依頼しなければなりません。

 慣れない方が古い形式の戸籍謄本を解読するだけでも大変ですが、複数の市町村に戸籍謄本の請求をするため、非常に時間を要することがあり、申述期限の渡過をしないように細心の注意が必要です。

相続放棄をしてよいかお悩みの場合

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年01月25日

1 遺産分割協議中に相続放棄をしたくなることがある

 遺産分割協議を開始した後になって、相続放棄を検討するケースがあります。

 実務上よくあるケースとして、主に次の2つが挙げられます。

⑴ 相続財産調査の過程で、多額の(プラスの財産を上回る)相続債務の存在が判明した

 遺産分割協議の前提として相続財産の調査を行います。

 遺品の整理や、金融機関に対する問い合わせをしていくなかで、多額の相続債務が判明することがあります。

 被相続人が自営業者であった場合、複数の金融機関や貸金業者から事業用の借入を行っていることがあるほか、知人の連帯保証人になっているということもあり、負債は複雑かつ多額に及ぶことがあります。

 法人の代表者であった場合は、法人が多額の負債を負っているうえ、法人の保証人になっていることもあります。

 相続債務の方が大きく、相続しない方に経済的合理性を見いだせる場合、相続放棄を選択するという流れになります。

 この流れの中で注意すべきことが2点あります。

 1つは、原則として預貯金等の財産を処分しないことです。

 葬儀費など、一部例外はありますが、相続財産を処分すると相続放棄が認められなくなる可能性があります。

 もう1つは、後述するとおり、遺産分割協議を成立させてはならないということです。

 遺産分割協議も相続財産の処分に該当するため、相続放棄が認められなくなる可能性があります。

⑵ 遺産の分割の仕方を協議する中で、他の相続人とのトラブルに発展した

 遺産分割協議は、しばしば紛争に発展します。

 相続人にはそれぞれの事情があることもありますし、財産を目の前にして通常のような判断ができなくなってしまうこともあります。

 その結果、財産を独り占めしたい、または大部分を取得したいという意思で過激な行動をとる相続人が現れることがあります。

 遺産分割協議を終えればそれなりの財産を取得できる見込みであったとしても、このような相続人がいると、遺産分割協議が成立するまで何年かかるか(場合によっては何十年)わかりませんし、その間嫌がらせや攻撃を受け続けるかもしれません。

 このような場合、相続放棄を選択してしまうという手もあります。

 相続放棄をすると、財産は取得できませんが、相続債務が存在していても、他の相続人に全て負わせることができます。

 相続放棄をした場合は、法的にはじめから相続人でなかったことになります。

 相続債務に関する何らかの負担を求められても、法的に関与しえないという反論ができます。

2 相続放棄をする場合、遺産分割協議を成立させてはいけない

 遺産分割協議を成立させてしまうと、原則として相続放棄をすることができなくなります。

 遺産分割協議は相続財産を相続する意思の現れとされ、法定単純承認事由に該当する行為となるためです。

相続放棄をいつ始めればよいかわからない方へ

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年09月17日

1 相続放棄は被相続人の生前にはできない

 ときおり、被相続人となる方がまだご存命の段階において、相続放棄をしたい、あるいは他の相続人に相続放棄をさせたいというご相談を受けることがあります。

 結論から申しますと、これはできません。

 被相続人となる方がご存命のうちに相続放棄をすることを決定している場合、被相続人がお亡くなりになったらすぐに相続放棄の手続に移れるよう準備をしておくことまでにとどまります。

 なお、生前の相続放棄とは別に、混同されやすい制度として、遺留分の放棄というものがあります。

 相続放棄と異なり、遺留分の放棄は被相続人となる方の生前に行うこともできます。

 ただし、裁判所による許可が必要であり、許可要件も厳格です。

 

2 相続放棄には期限があります

 相続放棄は「相続の開始があったことを知った時から3か月以内」にしなければならないと定められています。

 「相続の開始があったことを知った時」というのは「相続の開始」があった時と、これを「知った」時、の2つに分けて考えられます。

 まず、「相続の開始」です。

 相続は、被相続人の死亡によって開始されます。

 つまり、相続放棄は被相続人が死亡しない限りは行えないということになります。

 そのため、生前の相続放棄はできないということになります。

 次に、相続の開始があったことを「知った」という点です。

 一般的には、被相続人の死亡を看取ったり、死亡から数日中に死亡したことを知らされたりすることで、被相続人の死亡を知ることが多いです。

 しかし、様々な事情から被相続人と疎遠になっており、連絡もほとんど取り合っていなかったり、そもそも被相続人の住所も連絡先もわからなかったりするという状況の方もいらっしゃいます。

 そのような場合、被相続人死亡よりもだいぶ後になって(1年以上後になることもあります)、被相続人死亡の事実を知るということがあります。

 債権者や市役所等からの通知で知るというケースが多いです。

 このケースにおいては、通知を読んだことで被相続人死亡を「知った」ことになり、読んだ日から3か月以内に相続放棄を行うことができます。

被相続人の債務にお悩みの方へ

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2020年12月14日

1 被相続人の債務も相続財産

 相続財産には、被相続人の預貯金や不動産などのプラスの財産のほか、被相続人の借金等の負債も含まれます。
 負債が金銭債務の場合、相続人においては、法定相続割合に応じて相続されます。
 債権者側からみると、相続人に対して、その法定相続割合分の請求ができるということになります。

 

2 債権者からの連絡

 被相続人が貸金業者や金融機関等から借金等をしていた場合、支払いを要求する書面または電話での連絡が入ることがあります。
 貸金業者や金融機関側において、被相続人が亡くなったことを知らない場合は、被相続人名義の請求書を送付してきたり、被相続人の電話に連絡をしてくることもあります。

 

3 被相続人の債務の状況調査

 被相続人の債権者から連絡があったとしても、その債務が相続債務の全てとは限りません。
 債務の全体像を把握するため、CICやJICCといった信用情報機関に対して照会を行うことで、どの債権者に対し、どの程度の負債を抱えているかがわかります(個人やヤミ金に対する負債については判明しません)。

 

4 相続放棄を行う場合の対応

 相続放棄をすると、はじめから相続人ではなかったことになります。
 すなわち、相続放棄によって相続債務を弁済する必要がなくなります。
 相続放棄をすることを決定し、着手をしたら、債権者へ連絡をして、相続放棄を予定している旨を伝えることが得策です。
 全く連絡をしないでいると、債権者側からすると逃げられるのではないかと感じるため、場合によっては訴訟等を起こされる可能性もあります。
 債権者に連絡をするのが怖いという場合は、相続放棄を弁護士に依頼し、弁護士を通じて相続放棄に着手している旨を伝えてもらうという手もあります。
 貸金業者や金融機関もプロですので、弁護士から相続放棄をする旨の連絡が入った場合、通常であれば余分な労力を注いでまで支払い請求を続けることはしません。
 相続放棄は極めて強力な手続きであり、法定単純承認事由が存在する場合でなければ、債権の回収はほぼ不可能であることを十分に知っているためです。

相続放棄手続きの流れ

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2021年09月15日

1 法律上の相続放棄

 法律上の用語でいう相続放棄は、所定の期間内に、必要な書類を作成・収集のうえ、裁判所に対して相続放棄申述の手続きを行うことで実現します。
 その効果は、はじめから相続人ではなかったことになることです。
 一方、法律上の相続放棄に対応する概念として、事実上の相続放棄というものがあります。
 これは、相続人間で相続財産を取得しない旨の意思表示をすることです。
 しかしながら事実上の相続放棄は、相続債務については免れることができないという点で法律上の相続放棄と大きく異なります。

 

2 裁判所に対する手続き

 相続の開始を知った日から3か月以内に、次の書類を作成・収集し、管轄の裁判所に提出する必要があります。

 ①相続放棄申述書
 ②被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍)
 ②兄弟相続の場合、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
 ③相続人の戸籍謄本
 ④被相続人の住民票除票または戸籍附票

 そのほか、裁判所へ納める収入印紙や予納郵券も手配しておく必要があります。
 また、相続の開始を知った日が被相続人死亡日と異なる場合には、それを根拠づける資料の添付が求められることもあります。
 戸籍謄本類は、本籍地の市役所において発行してもらうことができます。
 本籍地の市役所が遠方にある場合は、郵送による請求も可能です。
 兄弟姉妹相続の場合、収集すべき戸籍謄本類がとても多くなる可能性があり、収集に時間を要することがありますので注意が必要です。
 相続放棄の書類の提出先となる管轄裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所です。
 この最後の住所地は、被相続人の住民票除票または戸籍附票によって確認します。
 相続放棄の書類の提出方法は、裁判所へ直接持ち込んで行うこともできますが、郵送でも問題ありません。
 相続放棄の期限が迫っている場合などは、万一の郵便事故や自然災害による郵送の遅延等のリスクを回避するため、直接裁判所へ赴いて提出するという方法をとる方がより安全かと思います。

所在地

〒221-0056
神奈川県横浜市神奈川区
金港町6-3
横浜金港町ビル7F
(神奈川県弁護士会所属)

0120-41-2403

お問合せ・アクセス・地図

相続放棄をお考えの方へ

ご家族が亡くなられた場合、相続人の方が残された財産を引き継ぐことになります。
残された財産が、土地や建物、預貯金や有価証券などの「プラスの財産」ばかりならよいのですが、借金をはじめとする「マイナスの財産」を引き継がなければならなくなる場合もあります。
例えば、亡くなられた方が生前に借金をしていた場合、相続人である配偶者の方やお子様が、それを返済する義務を負うわけです。
プラスの財産よりもマイナスの財産のほうが多く残った、あるいはマイナスの財産しか残されなかった場合には、相続放棄をすることで、残された借金の返済義務などを免れることができます。
相続放棄の手続きとして、相続の開始があったことを知った日から3か月以内に裁判所へ申述を行わなければなりません。
相続放棄の申述をするためには、亡くなられた方や相続放棄をされる方の戸籍を集めたり、申述書を作成したりする必要があり、時間と手間がかかります。
相続放棄の申述が裁判所に受理されないまま3か月を過ぎてしまった場合、プラスの財産もマイナスの財産もすべて相続しなければならなくなる場合があります。
相続放棄の手続きを円滑に行うためには、相続放棄を得意とする弁護士に依頼するのがよいかと思います。
弁護士法人心には、相続の案件を集中して取り扱う弁護士が在籍しており、相続放棄を得意とする弁護士が、お客様のご相談を承ります。
相続放棄についてのご相談は、原則相談料無料で承っておりますので、お気軽にご連絡ください。

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