相続放棄と未払いの公共料金の扱い

文責:所長 弁護士 湯沢和紘

最終更新日:2024年04月01日

1 相続放棄における未払いの公共料金の扱い

 結論から申し上げれば、相続放棄における被相続人の未払いの公共料金について、相続放棄をした(元)相続人は支払いの義務を免れることができます。

 これは、相続放棄の法的な効果や、未払いの公共料金の法的性質によるものです。

 以下、これらについて詳しく説明するとともに、未払いの公共料金の実務上の取り扱いについても説明します。

2 相続放棄の法的な効果

 相続放棄の法的な効果は、はじめから相続人ではなかったことになる、というものです。

 この効果によって、相続放棄をした(元)相続人は、被相続人の相続財産を一切取得することができなくなり、相続債務も一切負担せずに済むようになります。

3 未払いの公共料金の法的性質

 被相続人の未払いの公共料金は、本来被相続人が供給契約に基づいて支払わなければならなかった金銭です。

 法律的には、被相続人の相続債務となります。

 相続放棄をした場合、相続債務も一切負担せずに済むようになることから、被相続人の未払いの公共料金についても、(元)相続人が支払う義務はなくなるということになります。

 ただし、被相続人と相続人が夫婦の場合は違う扱いになることもあるため注意が必要です。

 例えば、同じ家で暮らしていた被相続人が亡くなり、配偶者が相続放棄をする場合は、日常家事債務扱いとなり、相続人固有の債務として支払い義務は残る可能性があります。

4 未払いの公共料金の実務上の取り扱い

 相続放棄をした(元)相続人には、被相続人の未払いの公共料金を支払う義務はありませんので、一定の期間支払わずにいれば、料金未払いにより、電力会社等の方から解除されます。

 実務上は、可能であれば電力会社等に対し、相続放棄をした旨の連絡をした方が、解除等の処理が円滑に進むと考えられます。

 もっとも、被相続人と(元)相続人がもともと同居しており、今後もその住居に継続して住み続ける場合には注意が必要です。

 電力等の継続供給を受けるためには、一旦未払いを理由に法定解除をしてもらい、改めて(元)相続人と電力会社等との間で契約をするという形になります。

 (元)相続人は、相続放棄をしてしまっていることから、被相続人の相続人として被相続人の契約関係を合意解除することができないためです。

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